負ける手法に価値はないのか?

負ける手法に価値はないのか?

FXで手法を検証する目的は、普通は「勝てる手法を見つけること」だと思います。

勝率が高い。

期待値がプラス。

資金が増える。

当然、それが理想です。

では逆に。

同じルールで何度も取引を繰り返し、長期間にわたって安定して負け続ける手法があったとしたら。

その手法には、本当に価値がないのでしょうか。

私は最近、むしろ逆なのではないかと思うようになりました。

安定して負けられる手法は、非常に興味深い手法なのではないか。

今回は、そんな少し変わった話を書いてみようと思います。


普通は「負けたら捨てる」

FXの手法を検証して、

勝てなかった。

資金が減った。

期待値もマイナスだった。

普通なら、その手法は不採用になると思います。

私も以前なら、

「この手法は使えない。」

そう判断して終わっていたと思います。

でも、今は少し違います。

例えば100回取引して、たまたま少しマイナスだった。

これは、それほど不思議なことではありません。

相場には偶然もあります。

勝つ時期もあれば、負ける時期もあります。

しかし、

100回。

200回。

500回。

さらに条件を変えずに検証を続けても、安定して負け続けたとしたら。

私はそこで、別の疑問を持ちます。

「なぜ、こんなに負けられるのだろう。」


安定して負けることも「再現性」ではないか

私は、ここが非常に重要だと思っています。

適当にエントリーして、たまたま負けた。

これは、あまり意味のあるデータではありません。

しかし、

同じ条件でエントリーする。

同じ決済ルールを使う。

同じRRを使う。

都合が悪くなっても途中でルールを変えない。

そして、それを十分な回数繰り返す。

その結果、

安定して資金が減っていく。

これは単なる失敗なのでしょうか。

私は、そうは思いません。

「何をやっても勝てない」のではなく、

「ある特定のルールを繰り返すと、再現性をもって負ける」

という結果だからです。

勝つことに再現性があるなら、

負けることにも再現性があっていい。

そう考えるようになりました。


私自身が「負ける側」にいた

そもそも、私がこんなことを考えるようになったのには理由があります。

私はこれまで、

自分なりに相場を分析してきました。

適当にエントリーしていたわけではありません。

チャートを見て、

方向を考えて、

ルールを作って、

「ここなら上がるだろう。」

「ここは勝てるだろう。」

そう考えてエントリーしてきました。

ところが、結果は思ったようにはなりませんでした。

むしろ、

「ここは勝てる」と思ったエントリーほど、ことごとく損切りになる。

そんな経験を何度もしました。

もちろん、それだけなら、

「自分はFXが下手だった。」

で終わる話です。

でも私は、途中から別のことが気になり始めました。

もし、自分の判断が安定して間違っているのだとしたら。

それは本当に、ただの「下手」で終わらせていいのだろうか。


「正解」だけを探す必要はあるのか

FXでは、

「どうすれば勝てるのか。」

という情報が圧倒的に多いと思います。

勝てるエントリー。

勝てるインジケーター。

勝てる手法。

もちろん、それを研究することに意味はあると思います。

ただ私は、

少し違う方向から相場を見てみたいと思いました。

どうすれば勝てるのかではなく、どうすると負けるのか。

こちらを徹底的に調べてもいいのではないか。

もし、

「こういう条件で取引すると、長期的に負けやすい」

というものを見つけられたなら。

それもまた、相場について一つのことを発見したことになると思うからです。


安定して負ける手法は「優秀」かもしれない

少し極端な言い方をします。

私は、

安定して負けられる手法は、ある意味では非常に優秀な手法だと思っています。

もちろん、お金を増やす手法として優秀という意味ではありません。

研究対象として、です。

今日は勝つ。

明日は負ける。

来月は大勝ちする。

その次の月は大負けする。

何の傾向も見えない。

これでは、なかなか研究ができません。

しかし、

条件を固定して何百回と繰り返した結果、

一定の傾向をもって負け続ける。

そこまで再現性があるのなら、

私はむしろ、その手法を捨てるのが惜しいと感じます。

「なぜ負けるのか」を調べる価値があるからです。


では、逆にすれば勝てるのか?

ここで当然、一つの疑問が出てきます。

「安定して負けるなら、全部逆にすれば勝てるのでは?」

という話です。

私自身、そこには非常に興味があります。

ただし、

私は現時点で「逆にすれば勝てる」と結論づけるつもりはありません。

相場はそれほど単純ではないと思っています。

スプレッドがあります。

スワップがあります。

実際の約定にはズレもあります。

RRを反対にしただけで、数学的にすべてが綺麗に反転するとも限りません。

だから、

「負ける手法を見つけた。逆にすれば勝てる。」

ではなく、

「安定して負けるという現象が確認できた。では、その反対側では何が起きるのだろう。」

そこから初めて、次の検証が始まる。

私は、それでいいと思っています。


だから私は結果を隠したくない

このブログでは現在、1000万円のデモ口座を使って検証しています。

実際のお金を運用している口座ではありません。

研究用のデモ口座です。

そして、日々の取引結果も研究記録として公開しています。

勝った日だけを載せるつもりもありません。

負けた日も載せます。

勝率が悪くても載せます。

累計損益がマイナスになっても、そのまま載せます。

なぜなら、この研究では、

「負けた=研究失敗」ではないからです。

むしろ、同じルールを守り続けた結果、負けが積み上がっていくのであれば。

それこそが、私が見たいデータになる可能性があります。

だから、結果を綺麗に見せる必要がありません。


マイナスの結果にも価値がある

研究という言葉を使う以上、

自分が期待した結果だけを採用するのは違うと思っています。

「こうなるはずだ。」

と思って検証した。

でも、ならなかった。

それなら、

「ならなかった」という事実を残せばいい。

さらに同じ条件で続けても、やはりならなかった。

それもまたデータです。

そして、もしその「ならなかった」が何百回と再現されたなら。

私はそこに価値があると思っています。

勝つデータだけが価値のあるデータではありません。

負けたデータも、同じように相場から返ってきた答えです。


私が探しているもの

私はこの研究で、

必勝法を見つけたいわけではありません。

「この手法なら絶対に勝てます。」

と言いたいわけでもありません。

もっと単純です。

自分が正しいと思ってやってきたことが、なぜこれほど上手くいかなかったのか。

それを、ちゃんとデータで見てみたい。

そして、

もしそこに再現性があるのなら。

その反対側には何があるのか。

それも見てみたい。

だから私は、

勝つことだけを研究対象にはしません。

負けることも研究します。


あとがき

FXでは、

負ける手法は「悪い手法」。

勝てる手法は「良い手法」。

そう考えるのが普通だと思います。

でも、研究という視点で見るなら、

私は少し違うと思っています。

ランダムに負けるだけなら、あまり面白くありません。

しかし、

ルールを固定し、

条件を固定し、

十分な回数を繰り返し、

それでもなお安定して負け続けるのなら。

そこには、

「負ける」という再現性があるのかもしれません。

だったら私は、

その手法を簡単には捨てたくありません。

なぜ、これほど負けるのか。

反対側では何が起きるのか。

もっと調べてみたい。

勝てる手法だけが、良い研究対象ではない。

安定して負けられる手法もまた、非常に価値のある研究対象だ。

それが今の私の考えです。

だからこの研究所では、

今日も勝ちだけを探すのではなく、

負けたという事実も、そのまま記録していきます。

――答えではなく、違和感を記録する。

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